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10月 16, 2006

職場にて

新しい人が職場に来ている。
この人の名前を仮にA君としておきたい。

A君は非常に仕事覚えが悪い。
ただし、「仕事覚えが悪い」という意味では僕もかなり悪い方なのだが、今まで経験した人の中ではかなり異質な覚えの悪さだ。

一応、これでも情報処理産業の仕事に従事しているので、どこまで書けば守秘義務に反するのか判断が難しい(とは言うものの、彼に教えている業務の全てが守秘義務に反するような物ではないのだが)ので多くは伏せ字の様になってしまう事を了承してほしい。

1、Xという仕事をするように命じる。A君はその仕事を一生懸命にする(その仕事の出来不出来はともかくとして)。次に「Xの合間にYという仕事もして」と命じる。A君はYという仕事をする。その時、彼はXという仕事を行わなくなる。本人からうまく聞き出せていないのだが観察している限りでは先にしていたXという仕事が頭の中から消えている印象を受ける。

2、人の説明がうまくわからない。こちらは一生懸命話をしているのだが、話の内容が色々と飛ぶと付いてこれないという印象を受ける。しかし、仕事の手順などを出来るだけ具体的に説明したり、させながら説明したり、見せながら説明したり(つまり口頭だけで説明を終わらせない、という事)する限りは(覚えるかどうかはともかく)言っている事の理解は出来るようだ。

3、作業の中で「10の繰り返し作業があり、一つ終える度にチェックを行う。」があるとする。なぜチェックするかというと「やり残しがないかどうかを視覚的に確認する」為である。これを「なぜこのような事をするかわかるか?」と聞くと「わからない」と返事がくる。しかし、「10の繰り返し作業に対して、作業が終える度に行うチェックが9しか付いていない場合、それは何を意味するか?」という質問に対しては「理解できます。それは一つ作業を行っていないという事です。」と回答してくる。つまり具体的な回答を要求する質問については理解は出来る。

4、退社する時に「もう帰れるか?」という質問に対してなかなか返事をしない。(普通、仕事が全部終わったのならば「はい」だろうし、そうでなければ「いいえ」である。)しかし「するべき仕事は全部終わったか?」「XXという仕事は終わったか?」「レポートは書きおえたか?」という質問には明快に返答する事が出来る。

5、重複するが一度に複数の作業をする事が困難なのだが、これは作業に限らない。極度に緊張している時に何か質問をしても回答をしてこない。これは作業で何か調べ物をしている時にこちらから声をかけても返事がかえってこない事も多い。(主観ではあるが、何か一つの作業・行動・思考に傾注している時に他の事象が割り込んできても適切に反応出来ない様に思える。)

6、リラックスした状態(仕事をしていない状況・緊張していない状況)で一般的な話(雑談)をしている時はきちんと受け答えをする。こちらの下らないギャグに反応して笑う事「も」ある。

7、単に「XXの作業をして」と言ってもわからない(正確には無視する)事が多い。しかし「A君、XXの作業をして」というと自分に向けられた命令である事を理解する。

8、長い説明は理解できない。短く切った説明は理解できる。人称等を省略した説明も理解できていない。抽象的な説明も理解出来ない。

9、計算は実は僕よりも早い(これは事実として書いておく)しかし「おおよそ1000」「2分の1」とかのあいまいな表現は理解出来ないように思える。


10、手順書に作業を行う物の実物の写真が掲載されていた場合、それと実物を見せた時、それが同じ物である事をすぐには理解できない。

当初、A君を「自閉的傾向があるか?」と疑ったのであるが、どうもそれでもなさそうである。とは言うものの自閉症は「線引き出来ない障碍」というのは家族を含む当事者達には半ば常識であるが。彼は高機能自閉症もしくはアスペルガー症候群に言われるような特徴を幾つか兼ね備えている。ならば学習障害なのだろうか?確認をする事は現時点では出来ない、なぜならば彼は僕(そして彼は僕をなんらかの形で頼っているにも関らず)「以前の事はあまり話したく有りません」と拒絶する。本人が言いたがらない物を聞くことはそう簡単ではない。しかし、彼はそのような事で医者にかかった事は無い、と言っている(そしてこれは事実だろう。)

彼と雑談している(そして理解が難しい人間と雑談しようとなど思うのは俺一人だ)時に「今までの生活で、人の話がわからない事がしょっちゅうあった」と言っていた。「A君に学習障碍があるのか自閉的傾向があるのか、僕にはわからない。しかしA君は自閉症や学習障害の特徴である「モノラルのテープレコーダー」であり、説明書と実作業の差異を吸収出来ないタイプの人間だ」という事は確信した。
一つの事を教える時に他の事を介在させるとまず百発百中失敗する。

先日、彼と初めて夜勤を行い、一つの作業を教えた。
要領の良いものならば30分程度、悪い俺でも1時間前後、しかし、俺はその作業の説明にトータルで5時間程度を費やした。無論非難は俺に集中する。しかしこの時の夜勤は貴重な「ワンチャンス」だった。その夜勤だけ人数が通常より一人多かったので夜勤で説明に充分時間を割ける「最初で最後の夜勤」だった。そう判断すれば、「この一回で単独で作業できるようにきっちりと説明しなければならない」と考ええるのも自明なのだ。だから自分でも「ここまで事細かに説明するか?」と思ってしまうほど説明した。

次の日の夜勤、彼はその作業を二時間で終えてきた。
その日は他の者がついて、俺の作業の方法よりもより時間を短くできる方法を教えた。というのもあったが、彼の言葉は僕の前日の教え方が間違っていない事を教えてくれた。

「昨日、教えてくれた事を思い出しながら作業をしたので、怖々する事がありませんでした。」

やればできるじゃん。>A君

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コメント

こんにちは。

僕も学習障害持ちで、
「聞く」事に問題があって、
私生活でも普通に分からない事がたくさんあります。

だから仕事で説明をしてもらっても分からないし、
専門分野でも質問されるとまたまったく違う内容に聞こえます。

僕が話を聞くといつも「分かってるのか分かってないのか判断できない顔」をしているそうです。

職場に大阪・PONTAさんみたいに分かってくれる人がいたらな~って思ってしまいます。
学習障害は「誰にでもある。そんなの逃げだ」といわれる反面、問題があると「学習障害があるから」といっそう不利な状況に追い込まれてしまいますから。

僕はすでに仕事を覚えるにはどんな心構えが?とかそういうメンタリティーもなくしてしまいました。

投稿: ジュンソク | 10月 16, 2006 06:25 午後

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